センプルン『人間という仕事』読了。副題は「フッサール、ブロック、オーウェルと抵抗のモラル」である。いったいどんな共通点があるのかと思ったが、三者がそれぞれの場所で1930年代のヨーロッパの危機に直面してどのような精神で抵抗したかについての講演であった。しかし実際には三者だけでなく、その周辺や同時期に行動した知識人の話がたくさん出てきて、ナチズム、ファシズム、スターリニズムに席巻されるヨーロッパの知識人たちの群像が語られる。フッサールとオーウェルはある程度わかっているがアナール学派のマルク・ブロックの抵抗活動と最期についてはよく知らなかった。センプルンはブロックの『奇妙な敗北』を主軸に語っている。この本には翻訳があるんだね。センプルンは三者に共通する抵抗精神を「批判的合理性」「理性の勇敢さ」「民主主義に対する信」「民主的理性」と呼ぶ。こういう確信こそこれからも反復して学び直すべきものだということである。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784624932640
登録:
投稿 (Atom)
読書ノート始めます
現在進行中の研究計画で使用する予定の文献レビューを始めます。読書ノートのようなものになる予定です。できることなら週刊誌に連載するように、ひとまとまりの文献について1週間でメモしていきたい。積ん読している文献を読みながら研究計画における役割を確定していく予定です。レーニンの哲学ノー...
-
サッチャー発言の波紋。2008年8月23日 (土) 社会など存在しない(サッチャー) オルブロウ(Albrow 1999=2001:85-86)は、イギリスの元首相マーガレット・サッチャーの「社会など存在しない」という発言が論争を引き起こし、人びとが社会とは何かを考えるようにな...
-
これはいったいどこに書いたのだろう? 長岡克行さんの研究書を読んだときのメモ。参考までに転記しておく。 投稿者 野村一夫 日時 2008年7月10日 (木) 10:21 01社会学の領域 | 個別ページ 2008年6月22日 (日) 社会システムの三類型に関するルーマン ルーマ...
-
センプルン『人間という仕事』読了。副題は「フッサール、ブロック、オーウェルと抵抗のモラル」である。いったいどんな共通点があるのかと思ったが、三者がそれぞれの場所で1930年代のヨーロッパの危機に直面してどのような精神で抵抗したかについての講演であった。しかし実際には三者だけでなく...